大判例

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東京高等裁判所 昭和29年(ラ)62号 決定

先ず、本件抗告の適否について判断するに、本件抗告の対象である原決定が、民事訴訟法第五百四十九条に於て準用せられる同法第五百四十七条第二項による裁判であることは、記録に照らして明白である。そして同法第五百五十八条によれば、「強制執行の手続に於て口頭弁論を経ずして為すことを得る裁判に対しては即時抗告を為すことを得」とあつて、前記第五百四十七条第二項の異議の訴に於ける強制執行停止決定に対しては、右第五百五十八条により即時抗告が許されるが如き観があるが、前記第五百四十七条第二項の強制執行停止決定は、異議の訴提起後判決の言渡迄の間、異議の訴の原告保護の為め、仮に一時的になす応急的の裁判で、異議の訴に附随、従属する性質のものであつて、それ自体独立したものとは認められない。

然るに、前記第五百五十八条の規定により即時抗告の対象となる裁判とは、当然独立した裁判を指すものと解するを以て至当とするから、前記第五百四十七条第二項の強制執行停止決定は前段説示の性格に照し、これに該当しないものと認める。

よつて、第五百五十八条により即時抗告は許されない。

又(一)、民事訴訟法第四百九条の二による特別上告の提起があるとき、(二)、再審を求める申立があるとき、(三)、仮執行の宣言を附した判決に対して上訴を提起したとき、(四)、仮執行の宣言を附した支払命令に対し異議を申立てたときは、孰れも同法第五百条により強制執行停止決定をなし得るところ、右強制執行停止決定に対しては、同条第三項により不服の申立を許さず、然るに前記第五百四十七条第二項の強制執行停止決定に対しては、法文上第五百条の強制執行停止決定に対すると同様不服申立を禁ずる旨の規定がないからと云つて、特に不服申立を許すものと解するは形式に捉れた見解として採用し難く、却て両者の実質上類似する性格に思いを致すときは、両者はこの点に関して別異の取扱をなすことは不合理であると考へるから、第五百四十七条第二項の強制執行停止決定に対し特に不服申立を許す規定がない以上、第五百条第三項の規定を類推して同様不服の申立を許さない法意であると解するを以て相当である。

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